子どもの一人が不登校になると、兄弟や姉妹に不登校が連鎖するのでは?と影響を心配する方は少なくありません。
確かに「お兄ちゃんばかり学校休んでてズルい」と下の子が言ったりすることがあります。
そうすると不登校がうつってしまうのでは、と思うわけですね。
結論から言うと、不登校が兄弟や姉妹にある程度影響することはあるものの、「連鎖する」というのはちょっと考え方として違っています。
どういうことなのか?また現実問題として「お兄ちゃんが休んでいるんだから私も・・・」と言いだした場合にどう対処するか、という点について書いていきます。
不登校は兄弟で連鎖するのではなく“気付き”を与えてしまう
兄弟の1人が不登校になると、他の子どもたちは「風邪でもないのに学校を休むことがあるんだ」という“気付き”を得る、言い換えれば新たな発見をしてしまうことになります。
「お兄ちゃんは別に具合が悪いわけじゃないのに休んでいる」と思うわけです。
「だったら、具合が悪いわけじゃなくても私だって休んでもいいよね」と考えるのはある意味自然な流れです。
特に学校でイヤなことがあったり、友だちとちょっとうまくいっていなかったりすれば、なおさらそういう反応が生まれやすくなります。
これが、不登校が影響するということの意味です。
しかし、この例でも明らかなように、上の子は不登校の状態ですが下の子は不登校というわけではなく、単に学校に行きたくないと言いだしたに過ぎません。
不登校が連鎖する・うつるというのとは違いますよね。
もう少し詳しく言うと、下の子はお兄ちゃんの不登校について正しく理解しておらず、単に休んでいる、さぼっている、お母さんに甘やかされているとしか認識していないわけです。
もし、お兄ちゃんがインフルエンザで40℃近い熱が出て、ウンウンうなりながら寝ていたら「お兄ちゃんは学校休んでズルい!」と思うでしょうか?
そんなはずはないですよね。
お兄ちゃんの状態を小さいなりに理解しているから、お兄ちゃんが学校に行っていないことが連鎖したり影響したりはしません。
加えてインフルエンザの場合、熱が下がってきて見た目は元気になっても1週間は外出禁止だったりします。
お医者さんがそういっているんだよと説明すれば、下の子は納得します。
「ズルいー」などと言うことはあるかもしれませんが・・・
お兄ちゃんの状態について正しく理解していれば、「じゃあ私も」という発想は出なくなるはずです。
ここまでのまとめ
- 不登校は兄弟姉妹にある程度影響する。「風邪でもないのに休めるんだ」という気付きを与える
- 不登校は連鎖するわけではない。「学校に行きたくない」ことのレベルが違う
- 不登校について正しく理解していれば、影響は次第に収まる
しかし、それでも下の子が「私も学校に行きたくない!」と言い続ける場合はどうしたらいいでしょうか。
問題点を切り分け、それぞれの不登校に向き合う
不登校のお兄ちゃんと、それにつられて「私も!」と言いだした妹と、それぞれの問題点を切り分けて別個に向き合うことが大切です。
下の子が「私も学校に行きたくない」と言いだすと、どうしても不登校が連鎖したと感じて慌ててしまいがちですが、ここは冷静に対応しましょう。
主に次の2ステップを踏みます。
1.お兄ちゃんの不登校と私の状況は違うんだ、を理解させる
先のインフルエンザの例のように、学校にいけない本当の理由を理解すると不登校の影響は小さくなります。
まずはお兄ちゃんの状況を丁寧に説明する時間を取ります。
「ちょっといいかな?」と下の子と二人きりになる状況を作って、
- お兄ちゃんは辛いことがあってどうしても学校にいけないこと
- さぼっているのではなくて苦しんでいること
- 熱があれば学校を休むのと同じで今はお休みするのが大切なこと
をゆっくり教えてあげます。
下の子にとってはそんな深刻な話になっているんだとは思ってもいませんから、神妙な表情になるかもしれません。
加えて、お兄ちゃんのことが心配になってしまうので、ギュッと抱きしめてあげながら「でもお兄ちゃんは大丈夫だからね。少しお時間が必要だけど、ゆっくり休ませてあげようね」と安心させるようにします。
ここまで丁寧に扱われると、下の子は自分の「学校に行きたくない!」という気持ちはそこまで深刻なものではないことに気付きます。
大抵はここで不登校の兄弟姉妹への影響は収まります。
それでも、下の子が「でも私も・・・」と言ったり学校に行きたくないそぶりを見せて(なかなか支度しないなど)、上の子の不登校が連鎖しているのかな?と感じる場合は次のステップです。
2.下の子特有の問題に着目する
「1」のステップをしっかり踏んだのに不登校が下の子も学校に行きたくないという場合、下の子も不登校になりかけており、別個の問題にぶつかっているのかもしれません。
それが、お兄ちゃんの不登校が引き金となって表面化している可能性があります。
上の子が不登校になり、下の子が「私も行きたくない」と言いだすと、とかく不登校がうつった、連鎖した、と考えてしまいがちですが、必ずしもそうではないのです。
お兄ちゃんにはお兄ちゃんなりの不登校の理由があるように、妹にはまた別の不登校の理由、問題にぶつかっている可能性があります。
それで、「1」のステップでお兄ちゃんの状態や今の気持ちをしっかりと伝えた上で、「あなたはどうかな?」と聞いてみます。
妹は、既にお兄ちゃんが大切に扱われていることを感じ取っていますから、「あなたは?」と尋ねられれば自分の心の内を開いてくれる可能性は高まります。
すぐには言わないかもしれませんし、お兄ちゃんより年が低いため説明がヘタだったり、その場で思い出した「辛いこと」が大人の眼から見たら大したこと無いように思える場合もあります。
そうであっても一蹴せずに、また別の機会に伺ってみましょう。
そのようにして、お兄ちゃんの不登校とはまた別に、妹の直面している問題として向き合っていってあげるというわけです。
不登校が兄弟に連鎖・影響するか?のまとめ
不登校の上の子につられて「私も」と言いだすとしても、単に連鎖したと考えないほうがよいです。
下の子が抱えているかもしれない別の問題を見過ごしてしまう可能性があるからですね。
下の子とじっくり話す時間を取って、お兄ちゃんの状態と下の子の気持ちについて話し合うようにしましょう。
- 不登校が兄弟に連鎖すると心配な場合は、不登校についてじっくり他の子に説明する
- 「学校に行きたくない」という子どもの気持ちそれぞれと向き合って、別個に扱う