引きこもりの子どもの傾向として、不潔恐怖があります。
行きたいところがあっても、
● 人の触った手すりに触れられない
● 電車の座席に座れない
● 他人の家の座布団やトイレが苦手
といった反応を示すのです。
あるいは、手があれるほど何時間も手を洗ったり繰り返しうがいをする子、
毎日長時間の歯磨きをして歯医者での治療が必要なまでになる子。
毎晩何時間もお風呂に入らない時がすまず、疲れ切ってしまう。
挙げていけばキリがありません。強迫性障害に似た症状です。
不潔恐怖の原因はどこにあるのでしょうか?対策方法はあるのでしょうか。
不潔恐怖になる2つの原因
ハッキリとしたことは断定できませんが、少なくとも2つの原因があると思われます。
一つは、不登校・引きこもりである自分を「汚れた存在」と感じてしまうため、
手洗いやうがい、歯磨きがやめられないことが考えられます。
いくら洗ったところで自分は消えませんから、いつまでも洗い続けるというわけですね。
もう一つは、自分を責める他者への拒否感です。
ある女の子は、引きこもりの自分を責める父親が嫌いで、
父親の後にトイレに入るとか、家のドアを開けるという動作が取れなくなりました。
母親が、24時間営業のコンビニまで車で連れていくということもあったほどです。
このように、
●自分に対する嫌悪感
●他者に対する嫌悪感
が、不潔恐怖へ導く原因ではないかと考えられます。
不潔恐怖は子どもの“サイン”と捉えられます。
不登校の自分を受け入れられていない、もしくは家族との関係が良くないと感じている、
というシグナルです。
不潔恐怖への対策として大切なのは、まずはムリにやめさせようとせず、
こだわりが少しずつ減るように時間をかけて寄り添うこと。
不登校であることを親自身が認めていることを伝えることです。
そうして自分への、また他人への嫌悪感が徐々に和らいでいくように助けていきます。
入浴拒否の原因と対策は?
一方、不登校・引きこもりになってから急にお風呂に入りたがらなくなるというケースもあります。
不潔なまま過ごすことへの心配も湧いてきますね。
しかし、その原因は考えてみれば納得がいくものです。
不安を抱えている人にとって、衣服を脱いで無防備な状態になるのは
本当に怖いことではないでしょうか。
また、気力も体力もゼロになっている子にとって、
入浴はかなりのエネルギーを求められる“重労働”です。
そういう原因を考えると、対策もおのずとわかってきますね。
ゆっくり休んで、安心した環境でエネルギーを充てんできれば
必ず、自然に改善してくるものです。
ムリに入浴を勧めたり、不潔だとどうなるかという話を聞かせたりする必要はありません。